正月、実家に帰る車中。
年に一回、完全に仕事を諦める時間だからなのか、毎年この時間はあり得ないほど多くの思いが頭の中を駆けめぐる。実家への道のりが短くなるにつれて、会社を辞めた頃のあの時間へとタイムスリップしていくような気分にさせられる。まるであの頃に佇んでいる自分の魂に会いに行く気分だ。道中、信号待ちしていると、軽トラックが左折してきた。繋がれた柴犬の子犬が、荷台からこっちを見ていた…。実家で飼っていた柴犬が年末に老衰で死んだ時は、まるで悲しくなかったのに、その瞬間、急に胸が熱くなって涙が出そうになった…。