トッケイを見ているとなぜか、愛おしいという感情が湧いてくる…。
決して、人に慣れないという性質ゆえなのか…。ケージを移動しようと噛まれないように首根っこを掴むと「グェッ」っと呻き声をあげ、俺を拒否する。その抵抗はまるで、籠で鳥を飼おうとする、人間のエゴという本能に響きわたる警告音のようだ。生き物を四角い箱に閉じこめて観賞するという行為を、俺はもちろん否定しない。なぜなら自然を食べ、自然を守り、自然を破壊し、自然に還る、当たり前の事だが人類は自然のほんの一部でしかないと思うからだ。
しかし、満足感を得たその一方で感じているはずの罪悪感をしっかりと心に突き刺し育むことが、生き物を飼育するという行為の心のライセンスなのかもしれない。