ツリーモニター(樹上棲オオトカゲ)が地上で歩く姿はオモロい。木に登り、狩りをするために発達した細長い指や爪を持て余す。地上棲オオトカゲの堂々とした歩みとは違い、どこか滑稽だ。しかし、樹上となると一転。長い爪や指を駆使し、器用に木を登り、飛び移り、長い尾をつかって木にぶら下がり、まるで水を得た魚だ。派手な体色や模様も天敵から身を守る為に葉や樹皮に擬態するには十分なものであり、その細身の体系も木の割れ目や節穴などの隙間の獲物を捕らえ、身を潜めるにはうってつけであり、その大きさも木から木へ移動するには丁度良いものだ。つまり、環境と進化がほぼつりあい、そこで生活する事に不自由はほとんどないといっていいだろう。しかも、食物連鎖や地球の進化に完全に無駄なく溶け込んでいる。
そのころ人類であるオレはといえば、爬虫類をペットとして飼い、そのルールから大きくはみ出し、知能を武器にパラレルワールドを創りだそうとしている。その世界では、環境と進化のバランスは極端に崩れ、いくらうまくバランスを得ようとしても、完全に釣り合うことはない・・・。そんなオレの姿は、地上を歩もうとしている樹上棲オオトカゲ以上に滑稽かもしれない。